Radio Taiwan Internationalpic

pic
pic
海峡交流基金会の辜振甫・董事長が死去

 
pic
3日に亡くなった海峡交流
基金会の辜振甫・董事長

中華民国の対中国大陸窓口機関、海峡交流基金会の辜振甫・董事長が台北時間3日早朝4時ごろ、がんによる腎臓機能の低下で入院先の振興病院で死去。享年87歳。台湾海峡両岸における、台湾側の代表として象徴的な人物だった辜振甫氏の死去は、新年早々の台湾に衝撃を与えている。

辜振甫氏は1917年1月6日に台北市で生まれた。台湾の五大家族といわれる名家の出身で、父・辜顕栄氏から引き継いだ事業を発展させると共に、日本帝国大学(現東京大学)でビジネス管理などを学んだ。終戦後は台湾に戻り、国民党政府の土地改革などに協力、土地の供出の見返りとして得た台湾セメントなどの事業で、台湾における財界の巨頭となった。台湾の経済発展に伴って事業を拡大させた辜振甫氏は金融、信託事業にも進出、1982年からは当時の与党、国民党の中央常務委員となり、国民党の意思決定を行う中核の一人となった。1990年11月には北京当局との対話窓口として、財団法人海峡交流基金会が発足されるに伴い、同会の董事長に就任した。(台湾海峡両岸双方は、互いを政府と認めて接触することが出来ないため、中華民国は海峡交流基金会を、北京当局は海峡両岸関係協会を設立、それぞれに委託して接触する形をとっている。)辜振甫氏は1993年には、海峡両岸関係協会の汪道涵・会長とシンガポールで会談、両岸が分割統治されるようになって以来、双方が初めて接触した歴史的な会談と評価された。その後も1998年に上海で汪道涵氏と会談、北京では江沢民氏とも対面するなど、両岸対話の扉を開けた人物として知られている。

pic pic

1993年4月17日午前、中華民国の対中国大陸窓口機関、海峡交流基金会と中国大陸を代表する窓口機関、海峡両岸関係協会のトップ会談がシンガポールで行われた。これは両岸が分割統治されるようになって以来、両岸双方が初めて接触したもので、歴史的な会談とされる。会談前、海峡両岸関係協会の汪道涵・会長(左)と握手した海峡交流基金会の辜振甫・董事長(右)。

辜振甫・董事長は過去三度、中華民国の総統特使として、APEC(アジア太平洋経済協力会議)に参加。1997年11月26日、カナダのバンクーバーで行われたAPEC首脳会議に出席した辜振甫・董事長(中)は、シンガポールのゴー・チョクトン首相(左から二人目)の背の高さをユーモアたっぷりに強調した。右から一人目はクリントン米大統領。
 

台湾海峡両岸間の対話はその後、「一つの中国」に対して両岸双方がそれぞれの解釈を行っていることで途絶えている。辜振甫氏と中国大陸側の汪道涵氏の再会は、両岸対話の再開を象徴すると考えられ、常に期待されていたが、辜振甫氏の死去で不可能となった。台湾側では辜振甫氏死去の、両岸対話の再開に対する影響を心配する声も聞かれる。なお、辜振甫氏の死去に伴い、行政院大陸委員会の劉徳勲・副主任委員が海峡交流基金会の代理を務め、近日中に正式な後任を決める。辜振甫氏は日本の政財界とのパイプも極めて太く、最近では早稲田大学の名誉博士号が授けられたほか、大学内の庭園には辜氏の名前が付けられた。

pic pic

2001年、総統府で行われた双十国慶節の祝賀式典で、弟で総統府資政(高級顧問)の辜寛敏氏(右)と歓談する辜振甫・董事長(左)。辜寛敏氏はエコノミスト、リチャード・クー氏の父。

辜振甫・董事長の京劇は玄人はだしとして知られる。1996年5月22日、台北市にある劇場「新舞台」で、古代中国春秋時代の武将、伍子胥の役で京劇「文昭関」のリハーサルに参加した辜振甫・董事長。

辜振甫氏死去の知らせを受けた陳水扁・総統は3日、台湾セメントを弔問に訪れ、哀悼の意を表したほか、遺族による葬儀等の手続きに全力で協力するよう総統府に指示した。総統府では、辜振甫氏は、両岸関係の発展と安定、平和を大いに促進したとし、国家に対するその貢献を最大級に評価、その死去は国家の損失だとして、陳水扁・総統と呂秀蓮・副総統、そして国民すべてがこれ以上ない悲しみにくれているとしている。
中国大陸側では、新華社通信が3日午前、辜振甫氏死去を速報で報じたほか、海峡両岸関係協会の汪道涵氏も3日、辜振甫氏の夫人に対して弔電を打った。汪道涵氏は、辜振甫氏は14年間、両岸関係の改善に努めたとし、二回の会談を行った辜氏の死去を悼んだ。

病院側によると、辜振甫氏は1990年に右の尿管にガンが見つかり、右の腎臓と共に手術で切除、1998年には左側の腎臓にもガンが見つかり、2003年からは人工透析を行うようになった。昨年10月にはガンの転移で台北の和信病院に入院、その後、振興病院に移って化学治療を受けていたが、3日未明に容態が急変、4時5分に治療の甲斐なく息を引き取った。

(写真は中央通信社提供)


pic このページに関するご感想・ご意見をお待ちしております。
e-mail アドレス jpn@rti.org.tw

RTI中央放送局
中華民国台湾台北市北安路
55
http://www.rti.org.tw
picE-mail:
jpn@rti.org.tw
TEL:886-2-2885-6168 ext328
FAX:886-2-2885-2254