 |
|
台湾の最大野党・国民党の連戦・主席(左)と中国共産党の胡錦涛・総書記は29日午後、北京の人民大会堂で会談、1992年の香港会談での合意を基礎に、両岸の関係改善を促進していくことなどで合意した。 |
台湾の最大野党・中国国民党の連戦・主席と中国共産党の胡錦涛・総書記との会談が29日午後、北京の人民大会堂で行われた。中国国民党と中国共産党の党首による会談は60年ぶりで、国民政府が1949年、台湾に移って以来初であるため、世界的に注目を集めている。会談終了後の午後5時半に記者会見が開かれ、国民党の張栄恭・スポークスマンは、連戦氏と胡錦涛氏が会談で得たコンセンサスを発表した。コンセンサスでは、1992年に台湾側を代表する海峡交流基金会と中国大陸側の海峡両岸関係協会が香港で会談を行った際に得た合意事項を基礎として、国民党と共産党が、台湾と中国大陸との対話の早期再開を含む五項目の交流策を進めていくことが示された。
連戦氏の中国大陸訪問は世界的には注目を集めているものの、台湾では大きな反発を呼んでいる。対中国大陸事務担当の中華民国の政府機関、行政院大陸委員会の呉サ燮・主任委員は台湾時間29日夜8時過ぎに記者会見を開き、連戦氏と胡錦涛氏の会談結果は政府の期待とは大きな差があり、しかも、各界の意見が一致していない、いわゆる「92年の香港合意」を基礎に両岸交流を推進することで合意したため、中華民国政府としては非常に失望したとすると共に、国民党が記者会見を開き、胡錦涛氏との会談内容を発表したことは違法の疑いがあると指摘している。呉サ燮・主任委員は国民党の中国大陸訪問団に対して、帰国後、関係資料を提供するよう呼びかけると共に、国民党の党本部を訪ねるか、もしくは国民党の関係者を行政院大陸委員会に呼び、説明を求める可能性も排除しないとしている。呉サ燮・主任委員は、連戦氏は胡錦涛氏との会談の中で、中華民国が存在する事実を強調せず、中共が台湾に向けて配備するミサイルの撤去も要求せず、台湾の主権の確保に尽力せず、中共が制定した台湾への武力行使の法的根拠「反国家分裂法」に対する台湾住民の反感も伝えず、台湾にある中華民国の自由、民主政治の成果を中国大陸側に伝えることもしなかったとし、連戦氏は台湾住民の声を対岸に伝えなかったと暗に批判した。
 |
 |
|
台湾の最大野党・国民党の連戦・主席(左)と中国共産党の胡錦涛・総書記は29日午後、北京の人民大会堂で会談した。写真は会談を控え、握手する二人。 |
台湾の最大野党・国民党の連戦・主席は29日午前、中国大陸北京の北京大学で講演。台湾海峡両岸は現状維持することで衝突を避けねばならないと訴えた。連戦氏の母親は合併を経て北京大学となった、旧燕京大学の出身だという。 |
また、陳水扁・総統は29日午前、日本民主党の「日本台湾友好議員懇談会」のメンバーと会見した際、中華民国と日本のFTA自由貿易協定締結への協力を要請するとともに、北京当局が台湾とCEPA(経済貿易関係緊密化協定)を締結する報道についても触れ、それは台湾を北京当局の特別行政区、第二の香港、第二のマカオとして矮小化するもので、断固受け入れることは出来ないと強調している。陳・総統は台湾も中国大陸もWTO世界貿易機関の一員であり、WTOの枠組みで、台湾と中国大陸はFTA自由貿易協定を締結すべきであり、結ぶべきものはCEPAではないと強調した。陳・総統は、北京当局は台湾とFTAを締結することが出来なくても、米国、日本などの国家が台湾とFTAを締結することに反対しないよう希望すると語った。一部のメディアでは、北京当局は今回、連戦氏の中国大陸訪問に合わせ、台湾とCEPA(経済貿易関係緊密化協定)を結び、関税優遇措置の実施や貿易、投資の手続きの簡素化などを行う構想を示すと伝えた。中国大陸側は現在、香港及びマカオとCEPAを結んでいる。
一方、陳唐山・外交部長も29日、連戦氏の中国大陸訪問について談話を発表、国際社会では中共が「反国家分裂法」を制定したことに反対する声が上がっているが、台湾における野党の連戦・国民党主席と宋楚瑜・親民党主席が相次いで中国大陸を訪問することは(宋楚瑜・親民党主席は5月上旬にも中国大陸を訪問する予定)、国際社会に両岸が和解ムードに包まれているかのような錯覚を与え、台湾の外交をさらに困難にさせると述べ、相次ぐ野党党首の中国大陸訪問が台湾にもたらすマイナスの影響を指摘した。なお、李登輝・前総統は5月1日に演説を発表して、相次ぐ野党党首の中国大陸訪問は台湾の主権と民主政治に危機をもたらすことと警戒を呼びかける予定。
 |
 |
|
陳水扁・総統(右)は29日午前、総統府で日本の民主党国会議員による、日本・台湾友好議員懇談会のメンバーと会見。北京当局が中華民国台湾とCEPA(経済貿易緊密化協定)を結ぼうとすることは、台湾を「第二の香港」、「特別行政区」に矮小化することが目的とし、断固受け入れられないと述べた。陳・総統は、民主党議員に対し、中華民国と日本のFTA(自由貿易協定)締結への協力を要請した。 |
中華民国政府で対中国大陸事務を担当する行政院大陸委員会の呉サ燮・主任委員は29日夜8時過ぎに記者会見を行い、連戦・国民党主席が中共に対し、中共の「反国家分裂法」に対する台湾住民の反感を伝えなかったことなどに大いに失望したと述べた。 |
それでは、連戦・国民党主席と胡錦濤・中共総書記との会談を見てみよう。
中国大陸北京を訪問している、台湾の最大野党・中国国民党の連戦・主席は29日午後、北京の人民大会堂で中国共産党の胡錦濤・総書記と会談。連戦氏は、今日の会談は中国国民党と中国共産党にとって60年来初めてで、両党の交流としても56年来最もハイレベルで意義深いものだとした上で、今回の中国大陸訪問の意義について語った。連戦氏は、1992年に双方の努力により基本的なコンセンサスが出来、1993年には双方の代表である、海峡交流基金会(台湾)と海峡両岸関係協会(中国大陸)のトップ会談が実現し、両岸双方に希望を与えたが、ここ10年あまり、それぞれが共通の願いから遠ざかったことは遺憾だと述べた。連戦氏は、平和はすべての人の願いだが、その実現には対話が必要と指摘、対話にはその枠組みが必要で、国民党としては、1992年にまとめた、「一つの中国、それぞれの立場表明」とのコンセンサス(1992年香港会談での合意)を枠組みの基礎とする考えを示した。会談は台北時間午後3時半から5時10分まで、1時間半余にわたって行われた。
会談終了後、午後5時半に国民党訪問団は記者会見を開き、会談の結果を報告、連戦氏と胡錦濤氏が会談を通じてまとめた、「両岸の平和的発展に向けての共通の願い」を発表した。「願い」では、台湾海峡両岸関係は現在、歴史的なカギとなる時期にあるとした上で、平和で安定した発展への道を共同で探り、互いが信頼し、助け合うことで双方に利益がある局面を作り出さねばならないとしている。また、「1992年香港会談での合意」を堅持し、台湾独立に反対すると共に、両岸関係の発展を促し、両岸同胞の利益を確保することが両党共通の主張だとした。そして、この基礎に基づいて、両党が今後、行うこととして以下の五項目を挙げた。
-
「1992年香港会談での合意」を基礎に、両岸双方の対話の早期再開を促すこと。
-
敵対状態の終結、平和協定の締結を促すこと。互いの軍部が信頼し合えるシステムの確立も含まれる。
-
両岸間における経済面の全面的交流と経済協力システムの確立を促すこと。両岸間における直接通航、通商、通信のいわゆる「両岸三通」の実現、投資と貿易の保障、台湾の農産品の中国大陸における販売問題の解決を含む。対話再開後は両岸共同市場について優先的に討論する。
-
台湾住民が関心を示す、国際組織の活動への参与の問題に関する協議を促すこと。対話再開後、WHO世界保健機関の活動への台湾住民の参与などについて共同で討議する。
-
国民党と共産党の定期的な対話システムを作る。
※「1992年香港会談での合意」とは、1992年、中華民国政府の代表である海峡交流基金会と北京当局の代表である海峡両岸関係協会が香港で協議して、「一つの中国」問題について得たコンセンサス。台湾では、「『一つの中国』の定義について両岸双方がそれぞれの立場を表明する(独自解釈する)」ことで合意したとしているが、北京当局では、「両岸双方は一つの中国に属する」、すなわち「一つの中国原則」で一致したとしており、29日の会談で胡錦涛氏が連戦氏の主張を受け入れたかどうかが注目される。胡錦涛氏は今年1月、「一つの中国、新三段論」を発表、台湾と中国大陸との関係について、「1949年以来、両岸は統一されていないが、中国大陸と台湾が一つの中国に属する事実は変わっていない。これが現状だ。」と発言しており、これは中共が、1949年以来、両岸が別々に統治されている事実を認めたものと受け止められている。今回の連戦・国民党主席と胡錦涛・中共総書記との会談での合意内容により、「1992年香港会談での合意」の解釈の違いを理由に対話再開を拒んできた中共が新たな動きを見せるか、そして、この合意内容を台湾住民が受け入れるかが注目される。なお、陳水扁・総統は1992年の香港会談では、双方は合意に達していないと主張している。
|